七味、一味、塩、こしょう、黒こしょう、白こしょう、いろんな調味料がある。オレが最も使うのが七味である。
あいつは丼でも、そばやラーメンなどの麺類でも、炒めものでも、どんなものにでも辛味を与えてオレ好みの味に仕上げてくれる職人である。
でも、あの職人を嫌う者もいる。
そんな嫌う者がよく言うセリフは「一口食べる前から七味かけるなんてひどい!」というものだが、ハッキリ言って何がひどいのかわからん。
オレは出された料理を自分好みに仕上げようとしているだけである。別に作ってくれた料理を否定しているわけではない。ただ単に自分好みに仕上げようとしているだけである。
多分これは調味料という名前が悪い。「味を調える」なんて響きが良くない。
「ワタシの作った料理が!味が!何者かによって整えられてるううううううう!」
とでも思ってしまうのだろう。つまりは自分が作った料理の味が整ってなかったと思われるのだろう。
だが、『好味料』(このみりょう)という名前なら、
「ワタシの作った料理が!味が!好味料によってアナタ好みに仕上げられるうううううううう!」
ってなるはず。たぶん。
これなら自分が作った料理の味が相手の好みじゃなかったと思うだけ。好みなんて人それぞれだからそれに対して怒りや悲しみを覚えるやつなんていないだろう。たぶん。しらんけど。